MIFJ’s Newsletter - Week 26, 2025

vol.1 MIF Japan へようこそ!

『MIFJ’s Newsletter』は、毎週お届けするコーヒー業界のニュースレターです。

世界の動きや現場の声を手がかりに、成功を共謀するための問いと視点をお届けします。


はじめまして!
Map It Forwardの創設者で、コーヒー業界歴20年以上のリー・サファーです。

これから少しずつ、皆さんとつながっていけることをとても楽しみにしています。そして、こうしてMap It Forward Japanから初めてのニュースレターをお届けできること、本当に嬉しいです。

今回の新しいスタートは、日本のコーヒープロフェッショナルの一人であるKeisukeさんの熱い想いとアイデア、そして地道な取り組みがあって実現しました。Map It Forwardを日本にも広げようという彼の働きかけに、心から感謝しています。

今、コーヒー業界は大きな課題をたくさん抱えています。価格のこと、原材料の供給、人手不足、インフレ、物流の問題、国際情勢…ざっと挙げただけでも、いろんな「大変」が山積みです。私たちはこの状況を「コーヒークライシス」と呼んでいて、ただ嘆くだけじゃなく、ちゃんと向き合っていくためのリアルな対話やアクションが必要だと思っています。そんな思いから、私たちのポッドキャストではこのテーマを何度も取り上げています。ちょっと耳が痛くなる内容もあるかもしれませんが、「今こそ変われるチャンスでもある」という前向きな視点も、同時に大事にしています。

このニュースレターやポッドキャストを通して発信する話題が、皆さん自身の仕事や、周りの人との会話のきっかけになったり、何かヒントになったりしたらうれしいです。

Map It Forwardを日本のコーヒーコミュニティに迎えてくださって、本当にありがとうございます。これからも、皆さんの信頼に応えられるように、誠実に、そして率直に情報をお届けしていきます。もし「この内容、気になるな」と思ったら、ぜひこのメールをお知り合いに転送してもらえるとうれしいです。下のリンクからニュースレターの登録もできます。

https://mapitforward.coffee/japan

感想や質問なども大歓迎です!このメールにそのまま返信してもいいですし、YouTubeやInstagram(@mapitforwardjapan)へのコメントでも、ぜひ気軽に送ってください。

これからご一緒できることを、心から楽しみにしています。

Peace, Love, and Peanut Butter
Lee Safar


Insights of the Week

ホルムズ海峡が日本のコーヒー産業にとって欠かせない理由

ホルムズ海峡は、イランとオマーン/アラブ首長国連邦(UAE)との間にある狭い海峡で、ペルシャ湾と世界の海上輸送ルートをつなぐ重要な水路です。世界の石油取引量の約20%がここを通過し、液化天然ガスやその他の物資も多く取り扱われています。

誰が海峡を管理しているのか?

イランが北側を管理しており、政治的・軍事的な緊張が高まるたびに、この海峡を封鎖すると繰り返し脅しています。そのため、ホルムズ海峡は世界貿易における最も敏感な地政学的リスクのひとつとなっています。

日本にとってなぜ重要か?

日本は中東からおよそ90%の原油を輸入しています。たとえコーヒーそのものがこのルートを通っていなくても、ホルムズ海峡の不安定化によるエネルギーや輸送コストの上昇は、コーヒーのサプライチェーン全体に大きな影響を与えかねません。


日本のコーヒー産業への明らかな具体的な影響

  • 燃料・エネルギーコストの上昇:焙煎、輸送、パッケージングにかかる費用が増加。

  • 遅延と航路変更:一部地域の混乱が世界全体の輸送に波及し、生豆の輸入の遅延や運賃の上昇を引き起こす

  • 価格の不確実性:輸送保険料の増加やコモディティ価格の変動により、焙煎業者や輸入業者の利益が不安定に。

  • 経済全体への圧力:コスト上昇は消費支出の減少や、小規模コーヒー事業者の経営圧迫につながる可能性あり。


今からできること

  • 世界の物流情勢に関心を持つ

  • 可能であれば先物契約を活用する

  • サプライヤーや輸入業者との関係を強化する

  • Map It Forward Japan をフォローし、日本語での最新情報や学習機会を得る

イラン・イスラエル・アメリカ間の緊張で、海峡封鎖の可能性がこれまで以上に高まっています。「知っておけばよかった」では遅いかもしれません。まずは関心を持ち、話を聞き、行動に移すことで、大きなリスクを小さく抑えることができます。


Biweekly Feature -1st Pour

今週の「The Daily Coffee Pro Podcast by Map It Forward」では、2013年ワールド・バリスタ・チャンピオンであり、現在はCaffeine Control Coffeeの共同創業者でもあるピート・リカータ氏を迎えてお届けします。彼らのブランドは、2025年に向けて「意図的なカフェイン摂取」という観点からコーヒーの在り方を再定義しようとしています。



このシリーズでは、ピートとリーが、コーヒー業界の過去・現在・未来について深く掘り下げながら、時に耳の痛いかもしれない視点にも挑戦していきます。

このシリーズが初めて配信されたのは今年2月。当時は、現在起きているような政治的な緊張の多くはまだ表面化しておらず、コーヒークライシスも今ほど深刻ではありませんでした。


当時、コーヒー価格は過去最高を記録した後に400を下回る水準まで下がり始めていました。しかし今週、ブラジルに霜が降りる可能性があるとの報道を受け、市場は再び投機的な動きを見せ、高止まりする可能性が高まっています。


シリーズの各エピソードはこちら:

  1. コーヒー業界はいま転換点にある

  2. コーヒー競技会の意義とは

  3. 2025年はこれまでと何が違うのか

  4. カフェインのトレンド

  5. 2025年にコーヒーブランドを立ち上げるには


今週の月曜日、6月23日が何の日だったか、ご存知でしょうか?

「沖縄慰霊の日」です。
平和の尊さに思いを馳せるこの日の前日、アメリカによるイランへの空爆という報道が飛び込んできました。世界のバランスが大きく崩れかねない出来事に耳を疑うと同時に、あらためて平和の意味を深く考えさせられました。

冒頭でLeeが語った“コーヒークライシス”も、この出来事とは無関係ではありません。遥か遠くの生産国との距離、そして複雑に絡み合うサプライチェーンを思えば、今、私たちが日本で美味しいコーヒーを飲めていること自体が、ある種の奇跡に思えます。

今回ご紹介しているピートさんのシリーズでは、「私たちの知っているコーヒーは、もしかしたら消えてしまうかもしれない」と語られています。それは単に、スペシャルティコーヒーとコモディティコーヒーの二極化というような単純な話ではありません。むしろ、そうした“わかりやすい構図”では語れないことが、今のコーヒー業界には溢れています。

Map It Forwardでは、ゲストとの対話を通じて、複雑な現実を複雑なまま、誠実に伝えることを大切にしています。決して耳触りのよい話ばかりではありませんが、10年ほど前に私がこの業界に関わりはじめた頃に「こんなコンテンツがあったらよかった」と思えるような内容を、今ようやく届けられている気がします。

読んでくださる皆さんにとっても、ご自身の業界における役割を考えるきっかけとなれば嬉しいです。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

Peace, Love, and Peanut Butter
Keisuke


このニュースレターは、9月末までをプレリリース期間とし、日本のコーヒーコミュニティの皆さんからの反応やフィードバックを集めています。もし少しでも価値を感じていただけたら、ぜひお友達やお知り合いにもシェアしてください。今後の取り組みの方向性を考えるうえで、皆さんの声がとても大切です。ご意見やご質問があれば、Instagramやメールでいつでもお寄せください。